事前に知って安心!親の死後の手続き

本日はちょっと終活から離れて、親御さんが亡くなられたあとの手続きについてご案内いたします。ご両親にはずっと元気でいてもらいたいものですが、「もしも」のときはいつ訪れるか分かりません。いざというときに慌てないためにも、葬儀やその後の流れについてざっくり抑えておきましょう。葬儀社勤務時代にお客様から実際に質問いただいたことにもお答えしていきます。親御さんをお見送りするという経験が、ご自身の終活にも役に立つはずです。

1. 親が亡くなった直後にやるべきこと

死亡確認から葬儀社・親族への連絡までの流れ

厚生労働省のデータによると、2021年時点では約7割の方が病院や介護施設で亡くなられています。

引用:厚生労働省HP 人生の最終段階における医療・介護 参考資料

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001104699.pdf

病院や介護施設で亡くなった場合は、医師が死亡確認をしたあと、死亡診断書が発行されます。

次に行うのが「葬儀社への連絡」です。病院から指示が出たら(ほとんどの場合死亡確認の直後です)葬儀社へ連絡しましょう。
多くの場合、遺体を安置する場所(自宅や安置施設)へ搬送する必要があります。ここは時間との勝負になるため、あらかじめ候補を決めておくと安心です。また、携帯電話に葬儀社の電話番号を登録しておくとよいでしょう。

流れとしてはシンプルです。

  1. 医師による死亡確認
  2. 葬儀社へ連絡し搬送を依頼

この2つを押さえておけば、慌てず対応できます。

親族・友人にはどのタイミングで連絡する?

よく葬儀の事前相談でご質問いただきます。気になっている方もいらっしゃるかと思いますのでここで解説させていただきます。

まずは親族・親しい人を3つのグループに分けます。

  ①臨終に立ち会って欲しい人。

  ②葬儀の打ち合わせに立ち会って欲しい人。

  ③その他、通夜・葬儀に参列してほしい人。

この順番で、下記のタイミングで連絡していくとよいでしょう。

①臨終に立ち会ってほしい、特に親しい人には医師から告げられた段階で連絡する。 
 →一緒に住んでいる家族、子供、孫、きょうだいなど

病院・病状によっては面会や立ち合いに制限がある場合があるので、確認しておきましょう。

②葬儀の打ち合わせに立ち会ってほしい親族には葬儀社が迎えにくるのを待っている間に連絡する。
「1人で決めるのは不安」「本家の意見も聞かないと」などの事情があれば、亡くなった旨と安置先への到着予定時間、故人の安置先(自宅・会館など)を伝え、葬儀社との打ち合わせに立ち会ってほしい旨を伝えましょう。
もし亡くなったのが深夜であれば、状況にもよりますが葬儀社に事情を伝え、親族と連絡がついてから日中の打ち合わせにしてもらうのが良いでしょう。

③その他、通夜・葬儀に参列してほしい親族や友人には日程が決まり次第速やかに連絡する。

 →注意点①:よく親族に対して「亡くなった時点」と「葬儀の日程が決まった時点」の2度連絡をするという方がいらっしゃいます。大変丁寧な対応ではありますが、2度手間になり、ご遺族の負担が大きくなってしまいます。基本的には葬儀の日程が決まってからで問題ありません。また、日程の伝え間違いがないように電話に加えてLINEやメールなどで日程表の画像データを送ってあげるとより丁寧です。1人でこなそうとすると大変ですので、ご家族や近くの親族に積極的に声をかけ、協力してもらいましょう。

→注意点②:遠方の親族から先に連絡しましょう。公共交通機関や宿泊などの手配が必要になり、時期によっては簡単に予約が取れない場合もあります。少しでも早く動けば予約できる可能性が上がります。

宗教者にはいつ連絡する?

■仏教・神道などの場合
 葬儀社に確認してから連絡をしましょう。
 基本的にはご遺体の安置が済んでから連絡するよう言われる場合が多いです。
 深夜などの場合は夜が明けてから連絡する形になることが多いです。
 菩提寺や神社の電話番号も携帯電話に登録しておくとスムーズです。

■キリスト教の場合
 カトリックもプロテスタントも、臨終に神父・牧師が立ち会ってくださる場合が多いです。
 医師からの指示があったら早めに教会に連絡しましょう。

その他の宗旨の場合も、葬儀社に確認してから、宗教者に連絡するようにしましょう。
安置に立ち会う必要のある宗旨であれば話は別ですが、安置が整っていない段階で連絡すると宗教者の方をお待たせしまうことがあります。

自宅死亡の場合はどんな流れになる?

同じく2021年のデータによると、約2割の方は自宅で亡くなられています。

自宅死亡の場合はかかりつけ医の有無で対応が変わってきます。

かかりつけ医あり:かかりつけ医に連絡し、死亡診断をしてもらいます。

かかりつけ医なし:突然死の場合に多いです。異変を感じた時点で救急(119)に連絡します。その後、指示を仰ぎましょう。場合によっては不審死の可能性がないかを確認するため、警察に遺体が搬送される場合もあります。いずれにしても救急や警察の指示に従いましょう。指示があったら、葬儀社に連絡をします。

2. 葬儀・お金まわりで失敗しないポイント

他の記事でも書いていますが、葬儀は「急いで決める」「相場が分からない」という2つの理由で、想定以上の出費になりやすいものです。
終活を進める中でですでに相場を把握なさっている方も多いと思いますが、もう一度ポイントをおさらいしておきましょう。


葬儀費用の相場と内訳を知る

まず知っておきたいのは、「葬儀費用は思っているより幅がある」ということです。
一般的には100万〜200万円前後が目安ですが、内容によって大きく上下します。

費用の内訳は大きく3つに分かれます。
1つ目は「葬儀そのものの費用」(祭壇・棺・式場など)
2つ目は「接待費用」(料理・返礼品など)
3つ目は「宗教者へのお礼」(お布施など)

特に見落としやすいのが、料理や返礼品といった人数に応じて増える費用です。
最初の見積もりよりも最終的に高くなるケースは少なくありません。

大切なのは、「総額」で判断すること。
一つひとつは安く見えても、合計すると大きな金額になるため注意が必要です。


見積もりで確認すべきチェック項目

葬儀社から提示される見積もりは、そのまま鵜呑みにしないことが重要です。
確認すべきポイントを押さえるだけで、不要な出費を防げます。

まず見るべきは「何が含まれているか」。
一見安く見えても、必要な項目が別料金になっているケースがあります。

次に「追加費用が発生する条件」。
たとえば、参列者が増えた場合や時間が延びた場合など、後から上乗せされることもあります。

そして「本当に必要な内容かどうか」。
担当者に勧められるままオプションを付けてしまうと、気づかないうちに金額が膨らみます。

遠慮せずに「これは省けますか?」と聞くこと。
それだけで数万円〜数十万円変わることも珍しくありません。


香典・支払いで困らないための準備

お金まわりで意外と困るのが「現金の準備」です。
葬儀ではカードが使えない場面も多く、まとまった現金が必要になるケースがあります。

事前に、どのタイミングでいくら必要かを確認しておくと安心です。
特に、葬儀社への支払いや宗教者へのお礼は現金で用意することが一般的です。

また、「香典」についても理解しておきたいポイントがあります。
香典は葬儀費用の一部を補う意味がありますが、あてにしすぎるのは危険です。参列者数によって金額は大きく変わるため、あくまで補助的なものと考えておきましょう。

さらに、香典返しの準備も必要です。
いただいた金額に応じて返礼品を用意するため、後から意外な出費になることもあります。

「入ってくるお金」と「出ていくお金」を分けて考えること。
これを意識するだけで、資金面の不安はかなり減らせます。


葬儀はやり直しができません。
だからこそ、落ち着いて「必要なもの」と「そうでないもの」を見極めることが、後悔しないための大切なポイントです。

葬儀費用については以下の記事でより詳しく説明しておりますので、もっと知りたい!という方はぜひご覧くださいませ。

3. 絶対に必要な死後の手続き

葬儀が終わって一息ついた頃に待っているのが、各種手続きです。
ここを後回しにすると「お金が止まる」「期限を過ぎる」といった不利益が出ることもあります。
ポイントは、全体像をつかみ「順番」と「期限」を意識することです。

役所で行う主な手続き

まずは役所関係から手をつけます。ここは期限があるものが多く、優先度が高い部分です。

代表的なのは「死亡届の提出」。通常は葬儀社がサポートしてくれる(代行手続きしてくれる業者もある)ため、流れに乗れば問題ありません。
その後に行うのが、保険証の返却や各種資格の停止手続きです。

具体的には、
・健康保険証の返却(国保は14日以内)
・介護保険の資格停止
・世帯主変更(必要な場合)

などが挙げられます。

難しく感じるかもしれませんが、窓口でまとめて案内してもらえることがほとんどです。
一度で済ませられるよう、必要書類(身分証や印鑑など)は事前に確認しておきましょう。
自治体によりますが、ホームページに案内が載っている場合があります。

年金・保険・銀行の手続きの流れ

次に対応するのが、お金に関わる手続きです。
ここを放置すると、後から面倒なことになる可能性があります。

まず「年金の停止手続きと未支給年金の請求」。
亡くなった方の年金を止めると同時に、条件によっては遺族が受け取れる年金(遺族年金)の申請も行います。
年金は死亡した月の分まで受け取ることができますので、未支給の年金がある場合や受給資格があるにも関わらず年金を受け取っていなかった人は未支給年金の手続きも忘れず行いましょう。
逆に、年金の停止手続きが遅れ、死亡した翌月以降も年金を受け取っていた場合は返還の手続きが必要になります。年金停止の手続きは速やかに行いましょう。

続いて「保険」。
生命保険に加入していた場合は、保険金の請求手続きを進めます。保険証券の場所を確認しておくことが重要です。

そして「銀行口座」。
口座は銀行が故人の死亡を知った時点で凍結され、自由にお金を引き出せなくなります。公共料金の引き落としなどがある場合は、早めに把握しておく必要があります。
また、葬儀代は速やかに支払いを要求されるケースが多いです。しかし、故人名義の口座から相続手続きが終わる前に引き出すと横領などの疑いをかけられ、トラブルになる可能性もあります。そのため、葬儀代は葬儀代の支払い予定者の口座に別に準備しておくと安心です。

流れとしては、

  1. 年金の停止・申請
  2. 保険金の確認と請求
  3. 銀行口座の確認と対応

この順で進めるとスムーズです。

期限がある手続きと優先順位

手続きでつまずきやすいのが「期限の見落とし」です。
後回しにしているうちに、気づいたら期限切れというケースも少なくありません。

特に注意したいのは、
・年金の停止(できるだけ早く)
・健康保険の手続き(国保は14日以内)
・相続関連(数ヶ月以内に判断が必要、相続放棄は3ヶ月以内)

といったものです。

すべてを一度にやろうとすると、確実に疲れます。
おすすめは「期限が短いものから順に片付ける」ことです。

また、チェックリストを作って進めると抜け漏れを防げます。
 →自治体によっては配布している場合もあります。市役所の窓口などで聞いてみましょう。
頭の中だけで管理しようとすると、どうしても限界があります。

完璧を目指す必要はありません。
「重要なものから順に確実に終わらせる」ことが、結果的に一番スムーズです。

4. 遺産相続で揉めないための基本知識

相続は「うちは大丈夫」と思っている家庭ほど、トラブルになりやすいものです。
理由はシンプルで、お金や不動産が絡むと、それぞれの考え方が表に出るからです。
ここでは、無用な揉め事を避けるために知っておきたい基本を押さえます。


相続の基本と分け方のルール

まず押さえておきたいのは、「誰が相続人になるのか」です。
一般的には、配偶者と子どもが中心になります。子どもがいない場合は、兄弟姉妹が関わるケースもあります。

分け方には大きく2つの考え方があります。
1つは、あらかじめ遺言で決められている場合。
もう1つは、相続人同士の話し合いで決める場合です。

多くのケースでは、話し合いで分け方を決めることになります。
このとき重要なのは、「全員が納得する形にすること」です。誰か一人でも不満があると、後からトラブルに発展しやすくなります。

また、現金だけでなく、不動産や預貯金など「分けにくい財産」がある点もポイントです。
公平に分けるには、金額ベースで考える必要があります。

また、相続放棄をする場合、手続きは「相続の開始があったことを知った時から3か月以内」にしなければなりません。


よくあるトラブルとその回避策

相続で多いトラブルは、決して特別なものではありません。
むしろ、どの家庭でも起こり得る内容ばかりです。

例えば、
・「親の面倒を見ていた自分が多くもらうべき」という不満
・「聞いていない財産が出てきた」という不信感
・「連絡を取っていなかった兄弟との対立」

こうしたズレが重なると、関係が一気に悪化します。

回避するために大切なのは、「情報をオープンにすること」です。
財産の内容や金額を隠さず共有するだけで、不信感は大きく減ります。

さらに、感情的になりそうな場合は、一度時間を置くのも有効です。
その場の勢いで決めると、後悔につながりやすくなります。

「正しさ」よりも「納得感」を重視すること。
これが、円満に進めるためのコツです。


専門家に相談すべきケースとは

相続は自分たちだけで進められるケースもありますが、無理をする必要はありません。
状況によっては、専門家に相談した方が結果的にスムーズに進みます。

例えば、
・不動産が複数ある
・相続人が多い
・意見がまとまらない
・遺言の内容が分かりにくい

こういった場合は、早めに司法書士や行政書士などの専門家を頼るのが賢明です。

費用が気になるかもしれませんが、トラブルが長引くよりも、結果的に負担は軽くなることが多いです。
また、第三者が入ることで冷静に話し合いが進むというメリットもあります。

「自分たちで何とかしよう」と抱え込まず、必要に応じて頼ること。
それが、余計なストレスを避ける一番の近道です。


相続は、避けて通れない現実です。
だからこそ、最低限の知識を持っておくだけで、結果は大きく変わります。

5.後悔しないために今からできる準備

親が亡くなってから「聞いておけばよかった」と感じることは少なくありません。
逆に言えば、元気なうちに少しだけ準備しておくだけで、後の負担は大きく減らせます。
ここでは、今からできる現実的な対策を紹介します。


親が元気なうちに確認しておくこと

最も大事なのは、「情報を把握しておくこと」です。
難しいことではなく、まずは基本的なことからで十分です。

例えば、
・預貯金や口座の有無
・保険に入っているかどうか
・自宅や土地などの不動産の状況
・かかりつけの病院や連絡先

これらをざっくりでも把握しておくだけで、いざという時の動きがまったく違います。

ポイントは、「深刻になりすぎないこと」。
改まって話すと構えてしまうため、日常会話の延長で少しずつ聞いていくのがコツです。

「今じゃなくてもいい」と思っているうちに、確認できなくなるケースもあります。
早めに動くことが、後悔を減らす一番の対策です。


エンディングノートの活用方法

エンディングノートというと、大げさに感じるかもしれません。
ですが実際は、「情報をまとめておくメモ帳」のようなものです。

書いておく内容はシンプルで構いません。
・口座や保険の情報
・連絡してほしい人
・葬儀の希望(規模や形式など)

これらがまとまっているだけで、家族の負担は大きく軽くなります。

大切なのは「完璧を目指さないこと」。
最初からすべて埋めようとすると続きません。分かるところだけでも書いてもらうことが重要です。

また、自分自身も書いておくと、いざという時に家族を助けることにつながります。
「親のため」と同時に、「自分のため」でもあるという意識を持つと取り組みやすくなります。


50代から始める現実的な終活

終活というと、まだ早いと感じる方も多いかもしれません。
ですが50代は、「準備を始めるにはちょうどいい時期」です。

やるべきことはシンプルです。
まずは、自分の持ち物や書類を整理すること。
どこに何があるのか分かる状態にしておくだけで、家族の負担は減ります。

次に、お金の流れを把握すること。
口座や保険、借入があれば、それも含めて整理しておくと安心です。

そしてもう一つは、「意思を伝えておくこと」。
葬儀の規模や、誰に連絡してほしいかなど、自分の希望を共有しておくだけで、残された家族は迷わずに済みます。

大がかりなことをする必要はありません。
できることを一つずつ進めるだけで十分です。


準備は、早すぎて困ることはありません。
むしろ「少し早いかな」と思うくらいがちょうどいいタイミングです。

まとめ

親が亡くなった直後は、冷静な判断が難しい中で多くの手続きや決断が求められます。本記事では、死亡確認から葬儀、費用の考え方、各種手続き、相続までの流れを整理しました。特に重要なのは「順番」と「期限」を意識すること、そして一人で抱え込まないことです。また、元気なうちに情報を把握し、少しずつ準備しておくことで負担は大きく軽減されます。いざという時に慌てないためにも、今できることから行動しておくことが何よりの備えになります。

【おまけ】葬儀よりあとの手続きの方が大変?

葬儀社勤務時代、葬儀後のお客様に請求書を届けに行っていました。
「その後どうですか?」と聞くと
「手続きが大変で休みの度に役場に行っている」
という答えが体感8割くらいのお客様から返ってきました。
中には「葬儀よりもその後の手続きの方が大変」「これから家の片づけとかどうしよう…」
とおっしゃる方もいました。

すでに親御さんと離れて遠方で暮らしている方だと
より手続きが大変だというお話も聞きます。

葬儀後も1人で抱え込まず、ご家族やきょうだい、頼れる親戚の方にお願いしながら
進めていった方がいいのかなと感じます。
また、お金はかかってしまいますが、
自身で手の届かない部分については行政書士や、今回は取り上げませんでしたが遺品整理の業者さんなど、専門家にお願いするのも方法だと思います。

ご両親がまだまだお元気なら、ご自身の終活も兼ねて下調べをしておくと安心ですね。

※この記事に掲載している画像の一部にAI生成を使用しております。

※画像素材の一部をぱくたそ様よりお借りしています。https://www.pakutaso.com 

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